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無落雪工法の考察(1) スノーストッパールーフ [有勾配無落雪屋根を独力で施工する]

我が家の屋根は当時農材工業が売り出しのオールアルミ屋根の推進キャンペーンに応募したもので、今も錆一つない完璧な形状を保っているのですが、屋根に溜まった落雪が、予想以上に遠くまで飛んで隣地に入るため後から角材の雪止めを載せました。

しかし変形寄棟屋根のために、雪止めのアンカーが1方向に捻じ曲げられて屋根のアルミを損傷して雨漏り源となってしまいました。

我が家を自作してから37年、最近は雪止めの補修に終われる一方、雨漏りにも悩まされ,
体力的にも、コーキングによる応急処理や雪止めの補修はこの先何年も続けられません。

いまさら建設業者のお世話になるのもなにか自分で後始末もつけられないようでセルフビルダーのプライドが許さない。
それで、自営で出来るだけ安価に改修する手段が無いものか検討してみました。

<改修の基本条件>

1.総工費抑制のため現在の勾配屋根の構造は基本的に変えたくない。   そうなると、隣地との関係から無落雪屋根にせざるを得ない。
  しかし、アンカーを使った雪止は、屋根の寿命短くすることを体験したので使用したくない。

2.屋根の雪止め木材、横葺きアルミ屋根材を撤去、屋根を張り替えて、無落雪屋根とする。
( 現在の屋根をそのままにして、その上に新たな屋根を掛けるカバー工法が、ローコストで済むとして、提案されているが、どう考えても屋根材が屋根下地にしっかり連結されない弊害が残るので没とする。)

無落雪屋根の仕掛けとしては、最近見かけるこのような無落雪屋根が我が家の状況からは有効と思うのだがどうだろう!

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高い形状のハゼで積雪が落下するのを防ぎ、融雪水は、なだらかに左右に傾斜させたハゼを横に流れて妻側から排出される組みです。

このような屋根は一般的に「スノーストッパールーフ」と言う通称でここ数年工事が急増したものです。
お洒落な勾配屋根無落雪住宅の要望に工務店が応えたものと考えられます。

ところが、「スノーストッパールーフ」評判でE検索すると苦情、訴訟、判決が沢山出てきました!

images1a.jpeg

その多くは、「スノーストッパールーフ」によるすがもり被害報告、苦情、すがもりが酷くて通常屋根に改修したものなどです。

意外にも、訴訟は「スノーストッパールーフ」のパテントを持つマキタ側から提訴されたもので
「スノーストッパールーフ」特約認定店で無い業者が「スノーストッパールーフ」の名を騙って工事することを禁止するもので、勝訴している。

それによると、パテントを持つマキタが工法の教育して合格した業者が、マキタから資材提供を受けて
規格どおりの工法で製作したものをものだけを「スノーストッパールーフ」と称するということらしい。

以上の情報から、一般的にスノーストッパールーフと称して施工されていた屋根のなかには問題ありの施工が沢山あり、スノーストッパールーフの信頼性もまだ世間に認知されるにいたっていないと言うことらしい。

1.我が家の状況からいえば、スノーストッパールーフ工法に頼らなければ問題解決しないので、まず現存する欠点を正確に捉えその対策はないのか考えてみることから始めたい。

(1)通常雪を屋根に載せぱなしにすると、すがもりが発生しやすくなる。
  雨だれが凍りつき、軒先に氷結したダムが出来ると屋根上に融雪水のプールが出来るからです。

  スノーストッパールーフは、長期間、屋根に満遍なく雪を載せることになるので、当然すがもりが発生しやすい環境下におかれる。
従って、スノーストッパールーフ工法を選択するに当たっては、すがもり対策を取り入れた万全な施工が必要になる。

stop1.jpg

stop3.jpg

(2)すがもりを防ぐために、屋根改修時には屋根断熱施工が推奨されています。
  スノーストッパールーフ工法もスタイロフォーム下地の上に板金工事がなされているようです。

  しかし、屋根断熱施工で症状はかなり改善されるでしょうがそれだけでは不十分なようです。
  なぜなら、屋根断熱だけで屋根面を常時0度C以下に保つことが難しいからです。
  我が家の場合、180mm(屋根根太断熱)程度の厚さしかない建築用断熱材で、暖房された室内温度(屋根裏で約15度C)を屋根材に全く熱伝導しないように熱を完全遮断することは難しい。(フィルムで空気の流動を遮断できても、建築用断熱材の断熱性能では熱伝導をゼロに抑えることができないからです。
下記左図参照  

02_001.gif
参照画像 新住協無落雪屋根http://www.shinjukyo-h.jp/kamata/02.html より借用


(3)すがもり防止のためには、屋根断熱工法に加えて、屋根下通気工法を併用する必要がある。
上記右図参照
  
   imagesdc.jpeg
   それは軒先から屋根面に外気を導入して、積雪期の屋根面を0度C以下に保つ工法です。
   屋内からもれ出た熱は、通気層を上昇して外部に放出され、屋根面は外気温を保つ仕組みです。

   スノーストッパールーフ工法の画像を丹念に調べても、屋根下通気工法を併用しているものは見つからなかった。(ここら辺がスノーストッパールーフ工法に苦情の絶えないところかもしれない。)



<検討結果を元に我が家の改修計画を立ててみる>
1.屋根断熱工事は不要
  建設時、既に、スタイロフォームとグラスウールで屋根(根太)断熱が完了しているので
  これ以上の屋根断熱工事は行わない。(これ以上目立った断熱改善は期待できないから)

2.屋根通気工事を行う(自営を前提に工夫する)

自分で出来る大工工事は、セルフで行い、板金工事は直接板金業者に発注して、工事コストを抑える。
  
  (1) 現在の屋根材を撤去して、既設の屋根合板上にタイベックスルーフライナーシートを貼り、(3次)防水層をつくる。
    タイベックルーフライナーは軽くて強靭な(耐久50年)防水紙で、自分で施工できる(26,500円/50m)

  img_0211.gif

  (2) タイベックルーフライナーの上に小垂木を並べてで通気層を作る。
  
  imagesas.jpeg   イメージ画像

 imageskj.pngイメージ画像

(2) 15mm実付き合板を釘打ちする
   
  スノーストッパールーフ工法による改修工事の画像の多くは下地にスタイロフォームを貼っている。
  しかし屋根材の下地がスタイロフォームでは、吊り子がしっかり固定できず、取り付けが不安定で、すぐにルーフィングが裂けて漏水の原因になりかねない。また屋根に雪を載せたままにするので鉄板屋根全体が積雪でずり下がる危険がある。
   ここは絶対に15mm以上の実付き合板を使うことにします。
  imagesxf.jpeg イメージ画像

1n2.jpg  イメージ画像

   ここまでの大工工事はセルフビルド、これ以降は板金工事店にやってもらうことにする。


3.屋根板金工事(業者によるスノーストッパールーフ工法)

(1) 15mm合板上に改質アスファルトルーフィング(2次防水層)を全面に貼る

  imagesasd.jpeg  イメージ画像
5,000円/20m

板金の継ぎ手からの漏水が屋根下地に浸水するのをストップする関門になるので、高性能ルーフィングを奮発して本職に責任施工で貼ってもらうことにしたい。

  (2) スノーストッパールーフ工法で屋根鉄板(ガルバリユーム鋼板)を貼る。(1次防水)
  index12q.jpeg  イメージ画像

  imagesbig.jpeg  イメージ画像

   imagesbh.jpeg  イメージ画像

   
  前述のすがもり対策を講じても最終的には
  スノーストッパールーフ工法の成否は板金部分からの漏水をいかに防げるかどうかに懸かっている。

  ここは板金工事は工事店の腕、経験、職人としての気配り次第で仕上がりが変わるので
  普段の標準工事の質、レベルを見極めて優秀な屋根板金業者を選定しての直営工事とする。
  別途加算料金でマキタ仕様のスノーストッパールーフ板金作業(シール板金など)を明記した工事契約書を取り交わして、完全なスノーストッパールーフ仕様の板金施工を依頼するよりない。

   
  しかしこれでは特別工事にならざるを得ないので、工事代金として相当な出費を覚悟する必要が出てきます。
  頭の痛いところです。



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たくや

雪国ならではの屋根なんですね~
悩ましい(涙)
by たくや (2017-01-06 17:09) 

kinkin

かなり難しい内容なんですね、多角的な検証と判断が求められるので
言えるのは業者と言えども容易に行える工法では無い事ですね。
by kinkin (2017-01-06 19:49) 

KENT1mg

予算は大丈夫でしょうか?
親切な仕様書に感動しました。^ ^
by KENT1mg (2017-01-06 21:54) 

ロートレー

たくや さん
雪は落としたくないが、そうするとすがもりが怖い!
落雪対策とすがもり対策は二律背反の雪国ならではの悩ましい問題なんです(涙)
by ロートレー (2017-01-06 22:27) 

ロートレー

kinkinさん
正解が無い難問の中でベストの回答を探し回っている状態です。
他人にあまり完璧を求め過ぎると財布が心配、セルフで納得いく結果が出せたら最高なんですが、さてさて(笑)
by ロートレー (2017-01-06 22:45) 

ロートレー

KENT1mgさん
まだ思考の段階ですから、望ましい方策をかき集めてはみたのですが、どこかで割りきりが必要になってくると思います。
矛盾をどう解決に導くべきかの秘策は、KENT1mgさんのブログの過去記事にあるかもですね(^^)
by ロートレー (2017-01-06 22:54) 

アニ

計画が壮大でテレビ番組になりそうですね^_^
by アニ (2017-01-07 00:19) 

ワンモア

壮大なプロジェクトが始まりそうで、((o(´∀`)o))ワクワクです。
今年は忙しくなりそうですね。
by ワンモア (2017-01-07 01:25) 

水郷楽人

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお付き合いいただきますようお願い申し上げます。(^_-)-☆
by 水郷楽人 (2017-01-07 08:57) 

ロートレー

アニさん
体力が衰えつつある私にはビッグプロジェクトですが、傍から見れば単なる老人の修繕作業ですよね
でも、セルフビルドハウスの集大成になるので気合が入っています。^^
by ロートレー (2017-01-07 09:34) 

ロートレー

ワンモアさん
ここ2~3年気になって暖めてきた修繕策を実行する年にしたいと思います。
まず、もう少し具体的な解決策を練って、レポートしていきますので、見守ってください。(^^)

by ロートレー (2017-01-07 10:09) 

ロートレー

水郷楽人さん
明けましておめでとうございます。
こちらこそ本年もよろしくお願い申し上げます。m(__)m
by ロートレー (2017-01-07 10:17) 

しのぴん

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
関東は雪国ではありませんが、まれに大雪になる事があり、
隣の屋根から溜まった雪が落ちてきて、
我が家の窓枠に当たりへこんだ事があったのを思い出しました。
by しのぴん (2017-01-07 16:47) 

ロートレー

しのぴん さん
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
また、車のレポートで楽しませてください!
by ロートレー (2017-01-07 20:15) 

MINERVA

遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。
本年も宜しくお願い致します。

先月半ばからご訪問が出来ず、本日未読分を拝読しておりました。
ブログが新しく移動されており、nice!は新しいブログ分から付けさせて頂きました。
by MINERVA (2017-01-08 12:27) 

ロートレー

MINERVAさん
明けましておめでとうございます。
こちらこそ、本年も宜しくお願い致します。
年末は、現役の皆様はお疲れ様でしたね
ゆっくり正月を過ごされましたか(^^)
by ロートレー (2017-01-08 12:42) 

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